大手外資系ITコンサルティングファーム出身のトップエンジニアが、新規事業起ち上げを経て創業パートナーとしてRevCommにジョインした理由

平村健勝

東京工業大学の大学院を修了後、アクセンチュアに入社。マネージャーとしてCRMの導入や機械学習・深層学習を用いたプロダクト開発などに取り組む。AWS主催の「Startup Architecture of the year 2019」にてソリューションアーキテクト賞を受賞。大手ITコンサルティングファームで新規事業起ち上げの経験も。

「IT×世の中を便利にする」仕事がしたい

――大学院を卒業後、大手ITコンサルティングファームへ就職しました。なぜ、この道を選んだのですか?

学生時代から、専門的な研究をするために大学1年生から研究室でプログラムを書いていました。初めて手がけたプロダクトが、いわゆるEdTechの分野でアダプティブラーニング(生徒個々人の能力を分析し、問題の難易度を動的に変えること)の基礎技術を用いた留学生向けインターネット日本語テストでした。このプロダクトは私の手を離れた後も、今でも世界中の多くの日本語を学ぶ学生や社会人に使われています。

このサービスの開発を通じて、「IT×世の中を便利にする」をキーワードに、統計、ビッグデータ、そして機械学習やディープラーニングなどのテクノロジーを組み合わせて、ソリューションをつくっていきたいと思うようになりました。修士1年生の時に、フィンランドのヘルシンキ工科大学(現・アールト大学)へ留学した際、「どれだけ高度な技術を持っていても、社会やビジネスの課題を解決できるソフトウェアを開発できなければ、ユーザーのためにはならない」という話を聞いて、とても感銘を受けたことも、こう思うようになった理由の一つです。

就職活動の時は、グローバルでエンジニアリングの仕事ができ、ビジネス的にインパクトの大きい仕事ができる会社へ入りたいと、Google、IBM、アクセンチュアの3社を検討。その中で、当時博士課程に在籍していた社会人学生にすすめられたアクセンチュアの選考を受け、入社することになりました。

――アクセンチュアではどのようなプロジェクトを担当していましたか?

アクセンチュアには7年間在籍し、コンサルタントとして主に通信会社を担当していました。コールセンターのビジネスプロセスを変革するためのコスト削減やシステム導入を提案し、年間のコストを約半分に削減するなど、ITの力をビジネスに生かすことの重要性を実感するプロジェクトに携わりました。

当初はお客さまがお持ちのデータから課題を抽出して解決策を提案するというスタイルでコンサルティングをしていましたが、次第にプロダクトマネージャーとして3〜5人くらいの少数精鋭チームで、30人規模のサービスをリリースするようになりました。エンジニアとしてはフロントエンドのインターフェイス設計から、分析に関するコアテクノロジーの開発、全体の設計、機械学習やディープラーニングのモデリングなど全方位的に技術を身につけて、顧客の課題を解決していきました。

その頃に、アナリティクスやビッグデータといった言葉が盛り上がってきたタイミングで、メンバーを集めて、現在のアクセンチュア デジタルの元となる組織を立ち上げました。アクセンチュアの日本法人では、それまで新規事業を立ち上げた例がほぼなかったため、大変苦労しましたが、訪日外国人向けの観光案内アプリの開発に携わるなど、アクセンチュアでも前例のないビジネスに関わることができました。

――なぜRevCommへ転職しようと考えたのですか?

アクセンチュアからちょうど大手通信会社へ出向していた際に、ハイクラス転職エージェントを通じてスカウトメッセージが届いたのがきっかけでした。当時は、ちょうど転職を検討していた時期。コンサルティングファームでできる業務はやり尽くしたという達成感があり、マネージャーとして管理職の経験を積むこともできたため、アクセンチュア以外の組織で新しい経験を積みたいと考えていたところでした。

とはいえ、当時はベンチャー企業に転職するつもりはまったくなかったので、RevCommからのスカウトメッセージには驚きました。しかも、創業者の會田からのメッセージでしたし、新たなプロダクトの構想はあるものの開発の道筋が定まっていないという文面だったため、より一層驚いたことを覚えています。

そこで一度面談へ行ったところ、會田が実現したい理想のビジョンを語りはじめ、その実現のためには何をすべきかディスカッションすることになりました。その次にオフィスを訪問したところ、いきなりプロダクトミーティングがセッティングされ、『MiiTel』の開発方法について検討することになりました。

その後8カ月間、プライベートの時間を利用して『MiiTel』の開発に従事。2018年6月にCTOとして正式に入社することになりました。

――現在はどのようなミッションを担っていますか?

メンバーが増えてきたこともあり、エンジニアが働きやすい環境を整える役割が中心です。ジョインした当初は、どのような体制で開発を行えばスムーズに開発していけるかといった、開発体制や開発フローの構築を行っていました。

コミュニケーションは最小限。少人数で高速な開発が実現できるよう、マイクロサービスを採用

――どのような開発体制を取り入れていますか?

エンジニアにとってできるだけ自由で、制約のない環境にしようと、マイクロサービスを取り入れています。現在は音声通信・音声録音を担当するPBX、ダッシュボード・Web APIの提供を担当するWeb Application、音声認識・自然言語処理を担当するAnalytics、モバイルアプリ開発を担当するMobile App、見積もり・請求などを担当するCorporate Engineeringと5つのチームに分かれて開発を行っています。

チームごとにドキュメント形式の統一はしていません。コミュニケーションを最低限に留め、Web APIの仕様書をやり取りする程度に抑えることにしています。これは社員第1号かつVPoEの川田も現在滋賀県に住んでいますし、リモートワークやフレックス勤務を自由に行っていて、業務委託で関わっているメンバーも多いためです。

できるだけ早いサイクルで開発できるようにすべく、最小限のコミュニケーションで、それぞれが独立してものづくりを行えるようにしています。そうすれば開発場所や開発時間が異なっていても一つのものをつくることは可能です。このような取り組みにより、打ち合わせは1週間にたった1度という頻度です。

現在の開発言語はPythonが中心で、フレームワークはDjango、フロントエンドはReact.jsを使っています。技術選定をする時にこだわっているのは、「つくるものに合わせて、最も合理的な技術を採用する」ことです。

今流行している最新の技術を使うことだけが重要ではなくて、永続的に使い続けることができ、サービスがスケールしてもエンジニアを確保できる技術であることが重要です。そういう意味でも、あえて「枯れた技術」を使うことも多いですね。ドキュメントやライブラリーが豊富で、安定的に安全に運用できる技術を採用しています。

――社内にはどのようなキャリアのエンジニアがいますか?

エンジニアは7名で、これまでのキャリアも多種多様です。私のように外資系IT企業出身者もいれば、大手ERPパッケージメーカー出身者もいます。ITコンサルティングファームや大手通信キャリア、スタートアップ出身者など、それぞれ独自のキャリアを歩んできたメンバーばかりです。

エンジニアリングだけをやってきましたという人は少なくて、営業、コンサルティング、起業などビジネスサイドの経験が豊富なメンバーが多いですね。エンジニア自身がマーケティングやプライシング、全体の仕様の決定まで踏み込んだサービスの設計に関する議論ができることもあり、プロダクトオーナー制は設けていません。年齢層は20代前半から40代前半までと幅広いのも特徴です。

社会やビジネスの課題を理解し、自発的に提案できるスキルを身につけて

――『MiiTel』の今後の展望を教えてください。

バーティカル、ホリゾンタル、グローバルという3つの視点で、『MiiTel』を拡充していこうと考えています。

まずバーティカルについては、電話機能・通話内容の分析機能を充実させていく計画です。次にホリゾンタルとして、現状のインサイドセールス用のプロダクトのみならず、これまで開発した技術を応用して他分野向けプロダクトのスピンアウトを検討しています。そしてグローバルについては、インドネシアをはじめとした諸外国での導入を狙っています。

また、Slackのチャネルでお客さまの声がすべて共有されるようになっているので、そのチャネルを定期的にチェックし、お客さまの要望やその背景、課題などを掘り下げて、プロダクトに反映するようにしています。

――トップエンジニアとして研鑽を積んできた平村さんの目から見て、エンジニアはこれからどのようなキャリア形成をすべきだと思いますか?

これからのエンジニアがすべきことは、テクノロジーの力でお客さまの要望や世の中の課題を解決していくことです。エンジニアはシステム開発だけをしていれば良いわけではありません。お客さまの事業課題や行動特性、心理状況まで踏み込んで想像し、設計から行えるエンジニアでなければなりません。

営業の方が使うプロダクトなら、「忙しい人が多いから、3クリックではなく、1クリックで操作が済むようにしよう」と考えたり、コンプライアンスを重視するお客さまに対しては、「通話終了とともに音声記録が送信されるようにしよう」と考えたりするなど、お客さまが求めていることや、その背景にある意図を理解し、解決策を提示するスキルを磨くべきです。

業務上、お客さまと直接やり取りする機会のないエンジニアの場合は、『東洋経済』や『ワールドビジネスサテライト』のようなメディアを通してビジネス関連の情報を積極的に取り入れるようにすると良いと思います。

スキル面では、先ほどもお伝えしたように、やみくもに流行っている言語を習得すれば良いというわけではありません。社会やビジネスにおける課題を解決するために、不可欠な技術を習得するスタンスを取るべきだと思います。

――最後に、RevCommに入社したいエンジニアへメッセージをお願いします。

多くのエンジニアと面接して、当社ほど自由な働き方ができる会社は見たことがないと言っていただくことが多いですね。基本的にリモートワークもフレックスタイムもOK。コアタイムはありません。最もパフォーマンスが発揮しやすい場所で、パフォーマンスが発揮しやすい時間に、パフォーマンスが発揮できるように働いて欲しいと考えています。

エンジニアのみなさんにとって必要な機材も積極的に購入しています。キーボードやモニターを最新のものにしたり、テストをするための実機が必要など、気軽に相談できる環境もあります。

高いエンジニアリングスキルがあれば開発経験のみの方も採用していますが、自発的に追加機能を提案したり、お客さまの満足度を上げるための機能を開発したりするなど、提案型のエンジニアにと一緒に働きたいなと考えています。

音声通信サーバエンジニア

オープンソースや自社独自開発を組み合わせてパブリッククラウド上に構築したPBXやCTIの開発およびテストを行います。安定的に運用する仕組みや実装、収益性を高める施策など、お客様からの通信に関する高度な問い合わせ対応なども担うことがあります。

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